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住民投票ねじ曲げる暴挙

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 ■辺野古埋め立て止めよ

 この国に民主主義はあるか。「沖縄に寄り添う」姿がこれだろうか。政府が辺野古の海に土砂を投入し始めた。有無をいわさぬ高圧的な姿勢に激しい憤りを禁じ得ない。

 知事選などで繰り返し何度でも示される沖縄の民意を露骨に無視した、天を恐れぬ所業である。年明け2月24日には辺野古の賛否を問う県民投票が予定されている。

 土砂投入を急ぐのは、県民の間に「あきらめムード」を醸成するあからさまな狙いがある。もう後戻りできない、という既成事実化によって県民意識を変えようという強引な狙いである。

 ただちに埋め立て工事を止めよ。そう主張し続けよう。決して諦めてはならない。不屈の信念をもって県民の意思を明確に示す時である。

 ■意思表示の権利

 県内すべての市町村議会12月定例会に、県民投票実施にかかる関連経費を盛り込んだ補正予算案が計上されている。

 県民投票で示される民意は沖縄の自己決定権であり、歴史的な意義を持つ。それだけにすべての市町村において実施されることが求められる。

 あろうことか、補正予算から投票関連経費を削除する動きが一部の市町村で出る一方で、すんなり可決する市町村もあり不透明な状況だ。

 投票実施請求に署名した約9万2000人余の思いは、県議会で条例制定に結び付いたが、投票事務を担う市町村で補正予算が否決されれば市町村によっては投票の権利、すなわち政治参加を拒まれることとなる。

 住民によって選ばれた議会が、住民の政治参加を拒むことは自己矛盾、自殺行為に等しい。

 安倍政権に近い政治勢力に共通する動きであることを見れば、県民投票の意義を失わしめ「骨抜き」にする何らかの連携があるのか疑わしい。

 その震源地となったのが10月の石垣市議会による県民投票に反対する意見書の可決だった。今度は与那国町議会が県内で初めて投票関連経費を削除する予算案を可決した。八重山は政治利用されていないか。

 県条例は、県民投票事務について市町村長の義務と定めており、議会の判断を根拠に義務を履行しない場合、明確に条例違反となる。一方で義務履行に法的強制力はない。

 であっても、県民投票を実施しない場合、それぞれの住民から「投票の権利を奪う」として訴訟を起こされる可能性がある。

 すでに結論を出した市町村もあるが、すべての自治体で投票を実施するのが望ましいことにかわりはない。慎重な判断が求められる。

 ■石垣も同じ構図か

 石垣市では平得大俣への陸自配備を問う住民投票も予定される。

 それを見越してか、石垣市は開会中の石垣市議会12月定例会に、市有地を売却するための不動産鑑定委託料を追加する予算案を提出した。

 辺野古をめぐる県民投票と同じ構図にならないか。住民投票で民意が明らかになる前に駐屯地整備に必要な市有地の売却準備を進め、呼応するように防衛省は民有地で年明け2月に事業に着手する。

 いずれも既成事実化の手法だ。後戻りできない、という「あきらめムード」を醸成し、市民意識を強引に変えるのが狙いだろう。

 新栄公園に「世界平和の鐘」が設置されて30年。よもや石垣島に軍事化の波が押し寄せるとは誰が想像し得ただろうか。

 議会、首長の良識ある判断を期待する。


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