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「子どもの貧困」に目を

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■日本は6人に1人が貧困

 新学期がスタートし、学校は子どもたちの歓声がこだましている。その学校で今、子どもたちの貧困が深刻化しているという。OECD(経済協力開発機構)によると、日本の子どもの貧困率は2009年で15・7%までアップし、国民の多くが意外に思うだろうが、6人に1人が貧困状態にあるという。それは先進35カ国中9番目に高く、非正規雇用の格差社会の中で今後さらに増える状況にあるという。

 また、先月28日に文科省が発表した昨年の全国公立小中学校の学力テストをもとに初めて実施した、全国4万人の保護者アンケートによると、親が高収入・高学歴なほど子どもの成績も高学力で、低収入の家庭の児童生徒と正答率に大きな差があることが分かった。

 いわば子どもの知らない、子どもたちに全く責任のないところで貧困も学力も決まり、その所得格差が教育格差になって、子どもたちは成長してもいい仕事に就けず、「貧困の連鎖」でますます「格差社会」に拍車をかけているというのが現状だ。

 

■新法制定、国が支援へ

 そのため国も昨年6月、「子どもの貧困対策推進に関する法律」が与野党共同提出で可決成立。同法が今年1月施行されたのを受けて去る4日、第1回子どもの貧困対策会議を開き、7月までに大綱案を作成、子どもの貧困対策に本格的に踏み出すことになった。

 実はこの子どもの貧困対策については、4年前の11年10月、本島で「沖縄の子どもを貧困から守る連絡協議会」が発足した際にも、「八重山3市町も実態調査し適切な支援策を」と取り上げた。それが今回、国の段階で対策法が制定され、救済対策に踏み出したのは大きな前進といえる。

 そこであらためて子どもの貧困はというと、所得が標準の半分以下の普通の生活ができない世帯の18歳未満の子どもを指す。たとえば4人世帯なら年収が約250万円以下、2人世帯なら175万円以下の子どものことだ。

 

■3市町も支援対策を

 八重山も多くの人が「ほんとうに6人に1人が貧乏なのか、周りにそんな子はいない」と違和感を示すだろう。  確かにテレビで見るぼろぼろの洋服でパンを万引したりというような、いかにも貧乏な子どもは一見なかなか見当たらない。しかし親がリストラに遭ったり、離婚したり、病気で仕事ができないなどで急に貧困状態に陥り、その結果給食費が払えない、保険料が払えず無保険のため病院に通えない、修学旅行に行けないなどの子どもが全国的に確実に増えているというのだ。

 そこで「子どもの将来がこのように生まれ育った環境に左右されないよう、さらに貧困が世代を超えて連鎖しないよう必要な環境整備、教育の機会均等を図る必要がある」として制定されたのが子どもの貧困対策推進法だ。

 国は早速、本年度から高校生を対象に返済不要の奨学金制度のほか、ひとり親世帯・生活困窮世帯への相談支援・就労支援・子どもの学習支援などに乗り出している。今は全く関心の薄い八重山3市町も離島はもっと厳しい状況にあるはずだし、ぜひ実態を調べ適切な支援対策を講じてもらいたい。


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