八重山3市町は、7日開会した12月定例議会に、来年2月24日に行われる「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票」の経費を盛り込んだ一般会計補正予算案を上程した。市議会では賛否が拮抗(きっこう)しているため、公明石垣の対応が議案の行方を左右することになりそう。竹富町議会では可決の見通しだが、保守色の強い議員がいることから流動的な側面も。与那国町議会では野党5人のうち1人が反対の意向を示しているため与党4人の動向が焦点。それぞれ議案審議を経て25日、14日、13日の本会議で採決する予定。
県議会での県民投票条例案可決に伴い、県の予算交付を受け、石垣市は1353万円、竹富町は543万円、与那国町は255万円の投票管理費を補正予算案に追加した。
市議会では、県民投票条例案に反対する意見書が9月定例会で12対8の与党などの多数で可決されたが、県議会での条例案可決などを受け、会派「未来」の箕底用一、後上里厚司両氏が賛成に転じる意向を明らかにしている。
このため賛否は10対10の同数となり、前回退席した公明石垣の石垣達也氏の動向が注視される。今回も退席すれば、同会派の代表を務める平良秀之議長が意思表示を余儀なくされるため、石垣氏が本会議で態度を明確にする可能性が高い。取材に「会派や支持者と相談しながら対応を決めたい」としている。
竹富町では、公明の三盛克美氏が「知事選で民意は出た。県民投票の経費5億5000万円は貧困対策など別に使うべきだ」と疑問を呈している。
与那国町では、野党系の与那原繁氏が「普天間基地の移設を遅らせるだけで、普天間の危険性除去にはつながらない。知事選で民意は示されているのでやる必要はない」と反対の意向。
一方、与党の金城信利氏は「与党全体では何も協議されていないので何とも言えない」と話している。
県民投票条例は、第3条で知事が執行し、このうち投開票の実施などは地方自治法第252条の17の2の規定に基づき、「市町村が処理することとする」と規定。県知事公室県民投票推進課によると、知事と市町村長に投票を執行する義務がある。
また、投票費は地方自治法第177条第1号で定める「普通地方公共団体の義務に属する経費」に該当するという。このため、議会で否決された場合、首長は再議に付さなければならない。再度否決された場合、首長は「原案執行権」を行使して経費を支出することができると規定する。
「辺野古」県民投票の会の弁護士は「首長が義務を果たさなければ、投票権が奪われたとして住民から損害賠償を求められる可能性がある」と指摘している。