与那国町のある居酒屋で数年前、麺だけのラーメンを売りにする「んなラーメン」のメニューを発見して以降、たびたび、子どものころを思い出す。「んな」は空、空っぽという意▼祖母は、具の少ないみそ汁を「んな汁」と嫌い、つくるときはいつも決まって具だくさんみそ汁。汁が極端に少なく、まるで煮物。ヘチマの汁は、もうおかず。これが昔からの食習慣だったのだろう▼飽食時代に生まれ育った筆者は、文句たらたら。汁物は、食べるものではなく、ご飯やおかずを流し込むもの、飲み物、口直し、という感覚。だって食べ盛り。ご飯がすすむ、ガッツリ系のおかずがほしかった▼そのうち祖母は料理をしなくなったが、祖母の味として思い出すのは、やはり具だくさんみそ汁。今では悪かったと後悔しつつ、具だくさんを好んでいる▼かつお節などでだしをとれば、塩分を控えることができ、野菜や豆腐、キノコ類など数多くの食材を1度にとることができる。油の多いおかずも減ってダイエットにもいい▼野菜に豊富に含まれるカリウムには、体内の余分なナトリウムを尿といっしょに排出する働きがあり、血圧の上昇を防ぎ、血中コレステロールや血糖値を下げる効果もあるという。発酵食品のみそにも効能がある。理にかなっていたのである。(比嘉盛友)
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