国の名勝に指定され、西表石垣国立公園にも編入されているミシュラン・グリーンガイド・ジャポンの三ツ星観光地、川平湾に14日、電気を動力源とした電気動力船(EV船)のグラスボート(4.8㌧、定員22人)がお目見えした。石垣市の補助を受け、㈱川平マリンサービス(高嶺良晴代表取締役社長)が建造したもので、海上で商業用に導入されるのは全国初。4月下旬ごろの運航を予定しており、排ガスを出さない自然環境に優しいグラスボートとして注目されそうだ。
石垣市が、エコアイランド構想に基づき、川平地区をモデル地区として一括交付金を活用。公募で同社を選定、600万円を補助した。同社によると、EV船建造に約3000万円を要した。
湾内では同社を含む3業者が計13隻でグラスボート事業を展開しているが、EV船の普及には莫大(ばくだい)な初期投資費用が課題。同社の高嶺社長は「エンジン部分だけの取り換えを今後、検討したい。それでも2000万円ほどかかる」と話した。
高嶺社長によると、エージェントからはすでに「客を送りたい」とのオファーが寄せられており、環境に配慮したグラスボートとして差別化が期待できる。さらにEV船は静かで快適。前進、後進する際のクラッチ音がないため、魚も逃げないというメリットも。今後、運行形態を検討した上で今月中には営業を開始する予定だ。
EV船は東京海洋大学が開発し、民間企業が製品化。リチウムイオン電池を動力源とし、約3時間の充電で30分コース6回の運航ができるという。市は2014年度に急速充電器を整備する予定で、これだと15—30分で充電が可能となる。
14日は就航セレモニーがあり、高嶺氏はあいさつで「自然を大事にし、川平湾を環境に優しい観光地にしていきたい」と抱負を述べ、中山義隆市長、東京海洋大学の大出剛客員教授が普及に期待した。関係者がテープカットを行った後、試乗も行った。