【与那国】小型船で秘境地周遊や極地探検などを展開するフランスのラグジュアリークルーズ船社「ポナン」の日本駐在職員が1日、新たな寄港地開拓の視察で初めて与那国島を訪れた。同社は2022年に、富裕層のフランス人観光客をターゲットに本島や慶良間諸島、八重山を周遊する新設コースを構想。視察では、日本最西端の島での海底遺跡や染め織り体験など「体験型商品」を高く評価した。小型クルーズの寄港実績の積み重ねが観光客誘致の呼び水となりそう。今後はクルーズ観光に対する町側の積極的な受け入れが必要となる。
フランスに拠点を置くポナン社は、ことし5月から日本市場を強化するため伊地知亮日本駐在ビジネスディベロップメントマネージャーを据え、国内各地を周遊する日本発着クルーズの展開に力を入れている。
今回の視察で伊地知氏は、与那国のほかにも久米島と南大東島も訪れ、クルーズ船の新規寄港地の可能性を探った。
同社が保有するクルーズ船は、総㌧数が1万㌧強の各船。乗客人数は200人前後。寄港プランは午前に入港して夕方に出港することを検討している。
これに合わせ、与那国視察では久部良漁港へクルーズ船の接岸状況や海底遺跡めぐりなど島内の主要な観光地、DiDi与那国交流館、長命草を栽培している与那国薬草園などを訪れた。
伊地知氏は、視察に同行した町側と八重山ビジターズビューロー(YVB)の担当者に漁港の岸壁に接岸する意向を示し、受け入れ側に負荷をかけない小規模な小型クルーズ観光を強調。島内の文化体験がフランス人観光客に受け入れられることに期待した。
YVB担当者は「ハード面よりも観光客を受け入れるソフト面の姿勢が必要。誘客の活性化につながってほしい」と期待。
町企画財政課も「今後は港湾機能の調整が必要だが、新規観光客の獲得チャンス。経済効果にも期待できる」と前向きにとらえている。