地域の誇りをタスキに乗せて、17チーム272人の選手が駆け抜けた第44回八重山毎日駅伝競走大会。沿道では字民らが大きな声援を送り選手たちの背中を後押しした。島内を東回りに一周するコース上には、地域を応援する横断幕やのぼりが並び、各字の応援団が太鼓やパーランクーを打ち鳴らし毎年恒例の駅伝ムードを演出。各地で熱狂的な駅伝ファンが「最後までこのペースだ」、「前のチームを抜けるぞ」とげきを飛ばした。
レース中、各年代ごとの中継所では、両親や公民館関係者、友人らが出走前の選手たちに駆け寄って激励。中学生区間では緊張をほぐそうと、チームの監督が自ら「普段通りに走れば大丈夫」と声かけに徹した。 竹富町のチームを応援するため家族5人で各コースに訪れた白保武靖さん(42)=公務員=は「町内の学校に赴任していた経験から、多くの教え子が出場している。新聞の選手名簿を見ながら各地点を回っている」と声を弾ませた。
長山長盛さん(87)=新川=は、新川から11区(一般女子)に出場する孫の長山美月さんの応援に駆けつけ、「駅伝応援が年末の楽しみ。(孫には)1人でも前の選手を抜いてほしい」とエールを送った。
大会は地元ラジオ局が生中継でチーム順位を伝えるも、受信できない与那国島ではチーム関係者が逐一、町役場で待機している町職員に区間順位を伝え、町防災行政無線で島民に伝達する定番の手法を取った。
この日に合わせて来島した与那国チームの関係者は「期待の表れだが、携帯電話に島のおじぃやおばぁから問い合わせが鳴りやまなず、レースに集中できない」と冗談交じりに笑顔を見せた。