■歩く習慣と持久力等の相関
「平成29年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」結果によると石垣市は抽出学年小5男子の徒歩通学の割合は55・7%(県、全国とも70・8%)、同女子は59・4%(県68・9%、全国72・6%)と男女ともに際立って低い。いかに自家用車での登校が多いか一目瞭然である(今一つの抽出学年中2年の市町村単位の数字は確認できず)。
一方小5の体力・運動能力調査の内、持久力に係る20㍍シャトルラン、上体起こし、50㍍走は男女ともに全国43位(沖縄県順位。以下同じ)から46位の間と最低レベルにある。中2も50㍍男子の35位が最高で、男女ともに持久走、20㍍シャトルラン、50㍍走(男子除く)、上体起こしが45位から47位の間とこちらも振るわない。
「太り過ぎ」の出現率も沖縄県は小中ともに全国平均を上回っている。これら不如意な調査結果を県保健体育課の担当者は歩く習慣と関連するのではないかと推測している。
■とよみ小「てくてく登校」の成果
豊見城市立とよみ小学校は平成22年から徒歩登校を増やすべく取り組んでいる。今では歩いて登校する児童は96%に上るという。同校教頭に子どもたちはどう変わったのか尋ねると、歩くことによるウオーミングアップ効果で脳が活性化し、1校時から学習活動に集中できると話した。給食の残量が少ないこと、太り過ぎの児童が少ない点も挙げた。持久力、筋力面の向上も見られ、学校対抗陸上競技大会では好成績を収めているという。朝の活動の清掃やあいさつ運動が良好なのもその成果に含まれるんじゃないか、とも続けた。
思うに徒歩での登校は自立そのものだ。また友だちと肩を並べて歩いたり道々あいさつをかけ合ったりすることで気持ちもほぐれるだろう。季節を肌で感じることもできる。校門近くで下車では一日スタートのスイッチの入りもおぼつかないのではなかろうか。多少の雨なら傘を持たせればいいだろう。
子どもたちの安全確保は言うまでもない。交通等安全指導を徹底すると同時に大人たちの見届けも大切だろう。とよみ小校区では毎朝多くのボランティアが通学路の要所に立ち、子どもたちに声かけしながら送り出しているという。同市の他校も同様だという。
■大人が範を垂れよう
ところで石垣市の私たち大人は十分に歩けているだろうか。知人の一人は50㍍足らずのコンビニにも原付きバイクで行ってしまうと苦笑いを浮かべたことがあった。昨年、石垣市では「5人に1人が働き盛りとされる65歳未満で亡くなっている」とのショッキングな報告があった。過度の飲酒や喫煙等が引き金になっているだろうが、日常的にウオーキング等適度な運動を行えば少しは改善しないだろうか。子どもたちを導くためにもてくてく歩く姿、運動で汗する姿で範を示したいものだ。
豊見城市は児童生徒にとどまらず市民にも歩け歩けをアピールし、健康増進、生活習慣病予防を目指す機運が高まっていると聞く。健康面で重篤な課題を抱える石垣市は豊見城市の取り組みに倣ってはどうだろう。