石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画をめぐり、反対、賛成の団体が29日午後、防衛省の説明会に先立ち、声明を発表したり要請書を採択したりするなど、それぞれの立場をアピールした。測量などの業務に加え用地造成工事の入札を12月に予定するなど配備に向けた同省の手続きが進む一方、平得大俣への配備計画の賛否を問う住民投票に向けた署名運動が追い込みに入る中、双方の対立が先鋭化する格好となった。
■一方的な進め方に抗議 市民連絡会
公開質問状へ回答求める
石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会の上原秀政共同代表らは大浜信泉記念館で会見し、用地造成の入札公告などの手続きを中止・停止して説明会を開催すべきだとする声明を発表、説明会に先立ち防衛局に手渡した。26日付で提出した公開質問状への丁寧な回答を求めている。
声明で▽用地造成30㌶のうちわずか3・5㌶の工事を、県環境影響評価条例の適用を免れる経過措置期間内の来年2月に強行しようとしている▽国と地方自治は対等。(住民投票による)市民の意思決定を尊重すべきだ▽配備ありきの姿勢では、何度説明会を開催しても防衛省の言う「地元の理解と協力を得られるよう丁寧な説明」にはなりえない―と指摘した。
上原代表は「自衛隊を否定するものではなく、災害救助を評価しているが、大規模災害であれば自衛隊も巻き込まれる。有事の際、住民はどこに逃げればいいのか。納得のいく説明を受けていない」と批判した。
金城哲浩代表は「一方的に進めている説明会はありえない」、嶺井善代表は「予定地は地下水・農業用水の取水地の上流にあり、危惧している。これまでの生活を子どもたちと未来に住む人に引き継ぎたいだけだ」と訴えた。
メンバーらも「ミサイルの数はいまだに説明されていない。情報をオープンにして議論をすべきだ」などと声を上げた。
■工事は地元企業優先を 地区商工政治連盟・県建設業協会支部
今年度中着工訴え4項目
先島地区商工政治連盟(黒嶋克史代表)、県建設業協会八重山支部(米盛博明支部長)は石垣市商工会館ホールで陸上自衛隊推進市民集会を開き、周辺環境整備や業務・工事の地元優先発注など配備にかかわる4項目の要請書を採択した。約70人が参加した。関連団体とともに12月14日、沖縄防衛局に要請する。
要請はほかに▽周辺住民や市民との信頼関係醸成に努め、安心安定した住民生活を図るための周辺環境整備▽各種業務・工事での地元企業の優先発注、分離分割発注、資材調達▽駐屯地運営にかかる民間委託業務での地元企業・団体の優先契約、優先雇用▽食料品など物資の地元企業からの優先調達。
黒嶋代表は「市長選や市議選で決がとられたと認識している。来年2月の着工は目の前。皆さんとともに要請したい」とあいさつ。
八重山建設産業団体連合会の会長も兼ねる米盛会長は「県産連は2年前、配備推進の決議をしており、配備に向け全面的に頑張る。市単独でできない事業も防衛省予算でできる。気持ちを一つに配備推進に向け団結しよう」と呼び掛けた。
八重山防衛協会の三木巌会長も「議論は尽くされた。結果は出ている。市長選や市議選でわれわれの票が集まった。いまさら住民投票をやらないでいい。今年度中に絶対着工を」と強く訴えた。