石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画をめぐり、防衛省沖縄防衛局は29日夜、市民を対象にした住民説明会を市民会館大ホールで開いた。防衛局によると、出席者は約230人。質疑応答で賛成派は中国の脅威論や災害時への対応の観点から早期の配備を求め、反対派は民意と環境への配慮に懸念をあらわにした。
平得大俣について防衛省側は▽市有地とゴルフ場など一定の地積がある▽島の中央部の高台に位置している—ことを「理由の一つ」と説明。同地への民意については「重要、大事だと考えて説明会を開催している」とした。
飲料水、農業用水の取水地の上流にある予定地に対し県環境影響評価条例に基づく調査を求める声に「環境現況調査を行っており、法令を順守して環境に配慮して対処する。県条例については必ずしもそういう(適用の)状況にはなっていない」とした。
現況調査も用地取得も終了していない段階での造成工事の入札公告への疑問に対しては「今後、速やかに工事を進めるための手続きの一環。南西諸島の空白地帯を埋めるのは喫緊の課題だ」と回答した。
賛成する出席者は「中国を脅威と感じるか感じないかの差。中国の脅威は減っていない。中国は暴力団、やくざの国だ」「中国は南シナ海のように尖閣を取ろうとしている。尖閣だけでなく八重山、沖縄を支配下に置こうとしている。政治、経済、軍事が強くないと国は守れない」などと意見を述べ、早期の着工を求めた。
反対する市民からは「疑問に対して丁寧に理解し協力を得ているのか。市民的合意はない。市民が理解できない形で強引に進めるのはとんでもない」との批判や「県環境影響評価条例に基づいて調査を実施してもらいたい」との要望があった。
質疑では配備推進を求める出席者が2度指名された際に、反対とみられる出席者から「さっきから手を挙げている人がいるのに不平等だ」と怒号が飛ぶ場面もあった。