第55回全沖縄青少年読書感想文・感想画コンクール(主催・県学校図書館協議会、琉球新報社)の感想文課題図書の部で、八重山高校1年の田渕鈴夏さん(16)の「平和な世界を目指すために」が最高賞の沖縄教育出版賞に輝いた。
田渕さんの感想文は、6歳でホロコーストを生きのびたフランス人女性の手記「いのちは贈りもの~ホロコーストを生きのびて~」の内容と、小学校時代に母親とともに参加した平和集会で見聞きして感じたことなどをまとめたもの。
憎しみや悲しみの感情に支配され、親から子を奪い、子から親を奪い去る戦争は「良い結果を何ひとつとしてもたらさない。70年以上たった今でも苦しみを抱え続ける人もいる。悲しみは終わらないのだ」と強調。「悲しい歴史は変えることはできないが、それを『学び』として二度と繰り返さない世界をつくっていかなければいけない」「許容すること、相手を尊重するということ。小さな事から平和への第一歩を踏み出す世界を、私たち若い世代こそが築いていかなければならない」とつづっている。
田渕さんは「限られた時間で書き上げたので、こんなに大きな賞を取れるとは思っていなかった。本当に驚いたが、うれしい」と受賞を喜び、「平和は当たり前のことが当たり前にできること。戦争がないということに尽きる。争いを起こさない、起こさせない。皆が幸せを分かち合い、悲しみを共有し、奪い合うことはせず助け合い、思いやりの心を持って他者に接することができる世界になっていかなければいけない」と平和への思いを語った。
同コンクールでは、各地区審査を通過した感想文438点、感想画1420点を、学校教諭や司書ら約90人が審査し、最高賞には田渕さんを含めて6人が選ばれた。