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ポイント還元率で批判

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 先々週、この欄で消費税増税問題を取り上げた。その締めの部分で「実施までの間に何が起こるか分からない。政府の出方やエコノミストらから発せられる情報を見極めたい」と書いた。あれから2週間もしないうちに早速新たな動きが出てきた。

 ■参院選狙いか

 安倍晋三首相が22日、2019年10月の消費税率引き上げに伴う景気対策として実施するキャッスレス決済時のポイント還元について、20年の東京五輪・パラリンピックまでの9カ月間、還元率5%で実施する方向で検討する考えを示したというのである(23日付2面)。

 還元率はこれまで増税分の2%と報じられていただけに大幅な上乗せ発言に「大盤振る舞い」と批判を呼びそうだという見方が大勢のようだ。ポイント還元には当然それなりの原資が必要で、その公費負担は数千億円とも言われている。財源確保は大丈夫かということである。

 この政府の出方には政治的な狙いがあるというのもマスコミ共通の見方で来年夏の参院選に向けた首相の人気取りではないかとみられている。国会をはじめ世間で消費税増税問題が関心を集めるなか、一定のサプライズ効果を狙ったもののように思えるのだ。

 ■実質的減税に       

 ただ、先々週も書いたようにキャッシュレス化の推進と言われても一般の小売店などでは補助制度はあるものの設備の新規導入には経費がかかる。石垣市内のような地域ではスーパーやコンビニ以外ではクレジットカードなどによるキャッシュレス決済は縁遠いものだ。消費者にとってもポイント還元率の恩恵は関係ないのかもしれない。

 ちなみに経済産業省のデータによると2015年現在で日本のキャッシュレス決済の比率は18・4%で韓国の89・1%、中国の60%に比べかなり低い。背景にはATMの普及で現金文化が根強い国民性があるとされている。

 ポイント還元率5%には「実質減税ではないか」との批判もある。クレジットで1000円の商品を買う。10%消費税分を含めて1100円を支払うと50円分のポイントがたまる。結果的に1050円で買えることになる。消費税は現行の8%から5%の減税になるのである。軽減税率対象の飲食料品などは実質3%になる。これでは消費税10%の意味がないのではないか。そういう議論だ。

 ■非運の1円玉

 この安倍首相の「還元率5%」発言の後、政府は正式に消費税増税に伴う経済対策として生活保護者など住民税非課税世帯を対象にするプレミアム商品券の発行や省エネ・耐震性能に優れた新築住宅の購入、改修にもポイントを付与する仕組みや自動車税の軽減など9項目を決定している。 

 ところで「一円玉の旅がらす」(荒木とよひさ作詞、弦哲也作曲)という歌をご記憶だろうか。1989年の消費税初導入時に発表されCDとカセットテープ65万枚の大ヒットを飛ばした。 消費税で1円玉がにわかに貴重な存在になった社会現象を象徴する歌だった。その1円玉が今度は切りの良い10%で多くが無用の長物になりそうだ。「歌は世につれ世は歌につれ」か。


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