数年前、友人が米国へ行くと張り切っていた。聞けば「バイクを買ってくる」とか。青春時代に憧れつつも、当時バイクは高価で、高嶺の花。数十年かけてへそくりをためていたらしい▼最終的に心を満たす「旧車」に出合えなかったようだが、観光を一切せず、ひたすらバイクを探し回ったという。友人は千円亭主を標ぼう、都会で涙ぐましい生活をしていただけに、その話は感動的だった▼最近、インターネットで70~80年代の国産絶版バイクを取り扱う沖縄の専門店広告が目に付く。かつての沖縄では考えられなかったことだ。離島県は輸送料がネックであり、当然、市場も県内に限られている▼ところが趣味の世界になると、商品がいかに良好なコンディションを保っているかが最大のポイント。送料は、マニアにとって選択順位でそう高くない。しかも沖縄は観光地であり、比較的安く行ける▼これは離島でも目的を絞れば十分にビジネスになる、という例だろう。人通りが少ない、駐車場がないために不利だという話をよく聞く▼だが趣味・嗜好(しこう)はさまざまだ。目的があると、人は相当な時間をかけても店を探し訪れる。その点で離島のハンディは少ない。要は、いかに魅力的で付加価値のある商品を提供するかだろう。(黒島安隆)
↧