新県立八重山病院は10月1日の開院から1カ月余り。外来患者数は旧病院よりも増え、多い日で500人を超える。病院引っ越しのため制限していた手術や入院患者の受け入れも通常に戻った。患者から指摘があった各セクションへの案内表示は既設に加え、手作りのものを設置して対応。病院の利用方法も浸透しつつあり、開院当初の慌ただしさから落ち着きをみせている。一方で高齢者や新規患者の中には、広くなった施設に戸惑う人も。
開院直後、利用者を困らせたのが約500台が利用可能な有料駐車場。駐車券を会計時に窓口で提示し割引きを行うが、システムが分からず、車内に駐車券を忘れ、取りに戻る人が続出した。
患者増を見越し、会計窓口のスタッフを増員したが、混み合う時間帯もある。今年度中に大型の会計表示モニターを設置して患者を診察・検査に応じて分類、待ち状況や精算案内を知らせるなど混雑緩和を目指す。
レストランやコンビニも公募型プロポーザル方式で決まり、10月中に開店した。レストラン「七海」は定番の八重山そばや定食のほか、焼きたてパンの販売やカロリーを表示した「健康提案メニュー」も計画中。コンビニは沖縄ファミリーマートが参入。ニーズに応えるため、お産セットや人工肛門用品などの店頭販売も検討している。
今月出産し、入院中の下地愛さん(35)は「バス・トイレが完備され、きれいな個室で産後も快適に過ごせている」と環境に満足げ。
検査のために初来院した女性(68)は「ホテルみたいで迷いそうだったが、看護師さんが丁寧に案内してくれて助かった。予約の患者さんが多いせいか、検査時間が8時から11時までかかり、居眠りするところだった」と感想を話した。
一方、県立病院では初めて導入された320列マルチスライスCTで、脳や心臓の精密検査をしようと他の病院から紹介された患者が増加。利用件数は導入前の一日平均約20件から約30件に。
篠﨑裕子院長は「検査システムなどを地域の方が利用できる環境も含めて、患者のニーズに沿ったサービスを提供していきたい」と話している。