県立八重山病院(篠﨑裕子院長)は11月の2018年度未納診療費回収強化月間に合わせて、督促や収納活動を強化する。本年度9月末時点、同病院の未収金額(累計)は入院・外来患者合わせて約2億1843万円(前年同期比1059万円、4.8%増)と直近4年間で最多。病院は、文書・電話による督促や自宅訪問などで回収を図るほか、悪質な滞納者や相談・連絡のない滞納者は「支払う意思が無いもの」とみなし裁判所を通じた支払い督促、給与の差し押さえなど法的措置も辞さない方針だ。
未納は、保険資格が無く入院し、自費計算で診療費が高額になったり、所持金不足で当日中に支払えず未払いになるケースなどがある。古いもので1990年からの滞納者もいる。
未納者へは▽診療前・後に支払い相談▽来院の都度、声掛け▽家族や保証人、職場などへ連絡|などの対応を取り、生活困窮で支払い計画が立てられない人や多額の未納療費を抱え困っている人には「支払い相談」を勧めている。病院会計窓口で24時間365日支払いできるようにし、クレジットカードや振り込み払いのサービスも行っている。
同病院全体の債権数は2789件、約1億798万円。10月30日に未払い債権の回収に向け対象者に催告書1123通を発送した。
診療費の未収金額は県立病院全体で約17億6000万円。同病院は約2億1843万円のうち2018年度発生分が902件、3334万円、17年以前発生分は5553件、1億8507万円と過去の累積が顕著。また、交通事故が増え、前年同期より未収額が約1000万円増加した。
篠﨑院長は、県立病院を「県民の納めた税金だけで運営している」と誤解している人が多いことを強調し、「県からの補助は全体の10%。90%は病院の受益で人件費の支払いや薬を購入している。個人未収金は病院経営に悪影響を及ぼし、医療の提供に支障をきたす恐れがある」と訴え、次年度から他の県立病院と同様に弁護士に回収業務を委託する考えを示した。