空の世界でパイロットによる乗務前の飲酒に絡む問題が相次いで発生し、社会に衝撃を与えた▼現地時間の10月28日、日本航空の40代の男性副操縦士が、英国の空港で乗務前に法令上の基準値を超えるアルコールが検出されて警察に拘束された。副操縦士は前日夜にワインを瓶2本、ビールを約1・9㍑飲んでいた▼一方、10月24日には、全日空グループ会社のANAウイングスに所属する40代の男性機長が、石垣市内の飲食店でビールやハイボールなど計6杯を飲み、飲酒により体調不良となり、翌25日午前8時10分発の石垣発那覇行きの始発に乗務できなかった▼毎月、同時刻便を利用しており、先月24日も那覇に出向いていただけに、問題の発生が残念でならなかった▼航空機事故の多くは魔の11分(クリティカル・イレブン・ミニッツ)と呼ばれる時間帯に起きると言われる。離陸からの3分間と着陸までの8分間であり、通常、飛行機を自動でなく手動で操る時間である。パイロットに細心さがあってこそ、乗客は快適な空の旅を楽しむことができる▼今回の問題の発覚は、過信を呼ぶようなことがあってはならないという悲痛な警告にもみえる。一つ一つの点検は欠かせず、航空会社の最大のサービスは何と言っても安全運航であることを再確認してほしい。(鬚川修)
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