沖縄にこそ日本の民主主義がある。県知事選で玉城デニー氏が当選したことを受けて先輩や後輩から寄せられた熱い思い▼国家権力が放つ〝アメ〟に揺らぐことなく、不動の信念を持って誇りある平和な未来のために貴い一票を託した県民。危機に直面したときに、ウチナーンチュは底力を発揮するという歴史の教訓を思い起こさせる選挙結果だった▼戦後の沖縄で米国は、強制的に奪った土地で基地を建設する際、事実上買い上げる「軍用地一括払い」の方針を示した。当時の沖縄は貧しかった。先輩たちは、喉から手が出るほどお金が欲しかった時代に拒否し、先祖から受け継いだ土地を守った▼あの時、お金に目がくらみ、受け取っていたらその後の沖縄はどうなっていたのだろうか。子や孫たちの時代に苦しみを与えたくないと思ったであろう先輩たちの矜持と、先見性政治の重要さを思わずにはいられない▼翁長雄志前知事は「イデオロギーよりアイディンティティー」を主張し保守、革新で争うのではなく、ウチナーンチュが心を一つにして基地問題に取り組む大切さを訴えた。その遺志は玉城新知事に引き継がれる▼戦争を知る先輩たちの思いを、知らない世代が務めとして次世代に伝えていくことの重要さ。それがなければ沖縄、八重山の未来は明るくならない。(鬚川修)
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