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「辺野古移設」の是非を語れ

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 ■政策論争を期待する

 翁長知事の急逝に伴う県知事選挙が13日告示された。投開票は30日に行われる。

 いずれも新人で前宜野湾市長の佐喜真淳氏と、前衆院議員玉城デニー氏の事実上の一騎打ちである。

 佐喜真氏は自民、公明、維新、希望の党の推薦を受ける。玉城氏は翁長県政を誕生させた「オール沖縄勢力」を基盤とする。

 米軍普天間飛行場の停止閉鎖に向けて辺野古移設が「唯一の解決策」とする政府と、「基地被害の県内たらい回し、新基地建設を許さない」とするオール沖縄勢力の総力戦だ。

 沖縄の未来が懸かる短期決戦である。有権者の判断材料は豊富にあることが望ましい。両氏の最大の相違は、辺野古新基地建設と県内移設の是非である。この争点を明確にした政策論争を期待する。

 ■既視感ある「争点ぼかし」

 県政記者クラブ主催の候補者討論会が11日開かれた。

 佐喜真氏は「政府が県外に移すよう努力すればいいが、われわれには限界がある」と反対しない考え。普天間の早期返還を訴えたが、辺野古移設の是非は明言しなかった。

 県の埋立承認撤回が政府との法廷闘争になる可能性に触れ「流れを注視しなければならない」とするにとどめた。

 一方、玉城氏は「翁長知事の遺志を継ぎ、辺野古移設阻止を貫徹する」と明言している。

 討論会で玉城氏は「あらゆる手段を講じ、新基地建設に向け断固たる対応をする」と強調した。埋め立て工事で軟弱地盤が見つかったことに触れ、地盤改良工事には県知事の許認可が必要だとも指摘した。

 佐喜真氏が移設の是非に触れないのには、違和感が残る。普天間飛行場に発展を阻害され、基地被害に悩まされてきた宜野湾市の市長を2期6年務めた。

 安倍政権の方針も、国と県が鋭く対峙(たいじ)した司法判断も十分に承知しているはずだ。

 県外、国外移設が検討すらされない状況下で、普天間返還は辺野古移設と同じ意味ではないか。そもそも辺野古新基地が完成したとしても普天間が閉鎖される保証はどこにもなく、居座り続ける可能性も残る。

 一方の玉城氏も「あらゆる手段」について、知事権限のほか明示せず具体策にふれなかった。

 今選挙には既視感がある。2月の名護市長選挙だ。勝利した渡具知陣営は徹底して辺野古移設にふれず争点をぼかし、国との対話路線を強調した。

 その上で「勝利の方程式」と呼ぶ自公維の総力挙げた組織戦で企業団体を締め付け、期日前投票に全力を傾注した。

 佐喜真氏も同様の選挙戦略に徹するとみられる。

 むろん知事選の争点となるべき政策は多い。佐喜真氏は「対立から対話へ」、玉城氏は「新時代沖縄」を掲げる。

 県域の振興発展、自立経済の構築、子育て支援、県民生活向上への対策。両氏ともそれぞれ考え方を示している。

 ■陸自配備も判断材料

 一方、石垣市平得大俣への陸自配備計画についても両氏は見解を示した。

 佐喜真氏は「一定の防衛力の配備は必要だと考えるが、地元の理解を十分に得たうえで進めていくべきだ」と述べた。

 玉城氏は「住民合意もなく地域に分断を持ち込むような強行配備を認めない」と明言した。

 両氏とも陸自配備計画が地域住民の理解、合意が得られていないとの認識ではないか。

 いずれにせよ両氏とも選挙期間中に政策を明らかにし、論争すべきだ。有権者はそれを期待し、投票の判断材料とする。候補者の責務である。


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