■文化国家日本を誇る
ノーベル賞受賞で沸く日本。私たちは、この国を、そして、この国に生を受けたことを大いに誇ろう。これからも「知の創造」で世界に貢献する日本をつくっていきたい。
私たち一人一人がその構成員だ。各分野で知を結集して世界の文化発展に貢献する有為な人材を育成することをさらに進めなければならない。
ノーベル賞受賞者の話を聞けば、いわゆる神がかり的な能力を持っている人ではない。いかに興味と関心を持ち、社会貢献を念じていたかである。そして、揺るぎない信念を持ち続けることができるかどうかで成功の可否がある|と知ることができる。そのことを早くから児童生徒に知らせ督励する必要がある。
このような人材をいかに多くつくるかで、わが国が、国際社会に冠たる国家になり得るかどうかが決まる。励まなければならない。
■科学技術で国づくり
戦後、わが国は「科学立国ニッポン」で国づくりに励み世界有数の経済大国になった。その基となったのが「科学技術」。これからもその立国精神は変わらないだろう。だが、懸念されることが横たわる。中高生の「理科離れ」である。必然にして理科の成績も芳しいものではない。先の全国学テ結果発表で本紙は「理科離れ解消されず」|とかなり大きな見出しで、このことを取り上げた。
▽理科の勉強が好き(中3年・62%。この中3年が小6年時・82%)で20%の減。▽理科関連の職業に就きたい(中3年・24%)。これからの科学立国を支える児童生徒にしては気がかりな数値である。
小学校のころは好きであったが、学年が上がるにつれて苦手で嫌いになる|「理科離れ」にどうブレーキをかけるかである。文科省は「授業内容に変化は見られるが成果が出るには至っていない」とみる。前回テスト後、同省は理科の興味を促すため、外部人材を配置し、実験・観察活動の補助活動や発展的な授業を進めてきた。また、実験機材の拡充や教員研修の強化を図ってきた。そのことがあって実験や観察を行う学校が増えた|とアンケート結果を分析する。「理科離れ」が進む現状を見たとき、施策不十分ということだろう。
さらなる厚い展開が急務だ。
■科学作品展を生かせ
八重山には31回を誇る児童生徒科学作品展がある。八重山地区小中学校理科教育研究会(南和秀会長)が主催するもので、これを生かしたい。「将来の科学者の卵が八重山にいるのが頼もしい。科学の目、科学の心で考えてほしい」(南会長)と激励する。
科学には気づく力、つまり着眼する能力が求められる。これは、日常、身近な事象に興味関心を持つ中で得られる。観察・実験を継続することでひらめいてくる。この事の確証を得るためには実験が必要だ。
教師の演示実験ではなく児童生徒自身にさせることが大切。授業改善は実験の多用から始めたい。
理科教科書から得た「知識」も、「現実」(実験)との突き合わせがあってはじめて「認識」(理解)になり得る。