どれだけ道行く人の目を楽しませてくれるのかと期待していたが、裏切られた。国道バイパスに新設された植栽マスの緑化である▼雑草が目立っていた植栽マスをコンクリートで埋め、同じくコンクリート製の「箱」を作った。鉢植えの花々をワンタッチで取り換えられる仕組みで、730交差点からサザンゲートブリッジまで、かなりの密度で設置されている▼多くの市民が、大型の花鉢を覆いつくすような美しい花木を想像していたと思う。ところが現実は貧弱で、若者流の表現だと実に「しょぼい」。花木の選定も失敗だろう▼特に最近は、シードー線や運動公園周辺などの都市街路で美しい花が満開しているだけに、何かと県の事業と比較されがち▼県の事業はそれ相応の予算を投じているが、市の都市街路美化事業は、植栽マスに花の種子をまいただけ。この単純な取り組みが美しい景観をつくりあげている。これは市民の評価も高く、毎年続けてほしいもの▼花と緑の街づくりは、多くの予算を投じた方が成果をあげるというものではない。もちろん予算は必要だが、大事なのはアイデアだ。国道バイパスの植栽マスと、都市街路の植栽マスのどちらが美しいのか、一目瞭然だろう。県はぜひ市民の声を聞き、検証してほしい。(黒島安隆)
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