新県立八重山病院の敷地内に薬局が開設されることになり、現地で22日夕、起工式が行われた。敷地内薬局は、現病院の門前薬局として病院西側に店舗を構える㈱リーフ上地薬局いしがき店(森巧薬局長)。病院側は利用者の利便性などを重視して敷地内薬局の設置を決め、7月に公募型プロポーザル方式の入札を実施、これまでの実績を踏まえ、同店を選定した。工事は来週から始まり、病院開院2カ月後の12月1日のオープンを予定する。
新設薬局は、平屋の鉄筋コンクリート造り。延べ床面積約165平方㍍で災害時にも営業できるよう自家発電機も備える。
同社によると、在宅で持続点滴が必要な患者に対応するため、石垣の薬局では初めて無菌調剤室(クリーンルーム)を整備。同業から要望があれば、共同での利用も可能という。このほか、感染対策室も設ける。
建築場所は、新病院の正面入り口付近の隣接地。営業時間は午前8時半~午後10時で年中無休。処方箋以外に一般の医薬品も取り扱う。
新八重山病院の敷地内薬局の設置をめぐっては、八重山の医療を守る郡民の会などが、石垣島周辺離島の住民や身体の不自由な患者、交通弱者らの利便性向上のため、県病院事業局や県議会に要請していたが、かかりつけ薬局の重要性を訴える県薬剤師会の反発もあった。
病院側は双方の意見を聞く意見交換の場も設け、最終的に設置する方針を決めた。
厚生労働省は、医療機関と薬局が一体とならないよう病院と薬局の間をフェンスで仕切るなど、いったん公道に出なければならないとしていた規制を、2016年に緩和。薬局経営の独立性確保を前提に、病院敷地内への設置を認めている。
起工式には同社や施工業者ら8人が出席、工事の安全を祈願した。リーフの前川征人代表取締役は「利便性を考慮して営業時間も長くし、より多くの方に活用してもらうため、地域に根差した薬局を目指したい」と抱負を語った。