【西表】西表エコプロジェクト(森本孝房代表)は2003~17年度にかけて西表島内の海岸漂着ごみを拾い集め調べた結果、この14年間で中国製の漁具やペットボトル、流木の漂着物が増加していることが分かった。また、森本氏によると、ごみがヤラブ(テリハボク)やマングローブ林など防潮林を枯らし新芽の生育も妨げているという。防潮林は林木の抵抗により津波・高波の被害や土壌の浸食を軽くし、海上からの流入物と陸地からの流出を阻止。潮風・高潮の被害を防ぐ効果もあり、保全が求められている。
同団体は、事務局の西表エコツーリズム協会と分担して、鹿之川湾、南風見田海岸、南風見田忘勿石周辺、ホネラ海岸、船浦湾、上原港周辺、中野海岸、星砂海岸の清掃活動を主管している。
台風で活動の少ない年もあるが、2016年度を除き近年は漂着ごみの回収総量が年間100㌧を超え、類別でみると発泡スチロールやプラスチック製品が全体の約9割を占めた。
漂着ペットボトルも年間1万本ペースで回収し、ラベルから製造国を分類。03年は台湾、韓国製のペットボトルが目立ったが、現在は7割が中国製。ベトナム、シンガポール製のペットボトルも増加傾向にあるという。
森本氏はマングローブやアダンの根っこが腐る要因の一つに、漁網、ロープ、有害物質を含むごみが根っこに絡まることを挙げ、「発芽した防潮林の新芽も流れ着いたごみに押しつぶされ育たない」と指摘。島の東海岸で、根が腐食し林帯が20年以上前と比べ陸側に最大10㍍後退したことも確認している。
さらに、防潮林の減少が進むと高波や高潮の災害も受けやすくなることを心配し、「農作物や山の木々にも影響を及ぼす」(森本氏)。「人間が出したごみは人間が処理するしかない」と考えを示した。
今後も清掃活動をはじめ、地域の親子を対象にした環境教室で漂着ごみの問題に取り組むことにしている。