立秋とは名のみの酷暑が続く。もはや「命に関わる危険な暑さ」である。西日本豪雨特別警報下の赤坂自民亭、嘆く間もなく逆走台風。つい「為政者が悪い」と悪態をつく▼熱中症の搬送者、死者は年々増加。こまめな水分と塩分補給、「ちゅうちょせずクーラーを」も命を守る常識となった。二酸化炭素の大気中濃度が昨年、過去最高を記録した。地球温暖化は進み、平均海面は93年に比べて7.7センチ上昇しているという▼被爆者はもっと熱かったに違いない。昨日は広島、9日は長崎原爆忌。投下から73年、超大国はいまだに核兵器を手放さず、互いをけん制し合う。唯一の被爆国である日本は、核廃絶を訴えながら核兵器禁止条約に賛同せず国際社会から疑いの目を向けられている▼八重山の「戦争マラリア」が猖獗(しょうけつ)を極めたのもこの灼熱の時期だった。避難命令が解除された7月以降、まちも村も島々も全域が有病地と化し、まん延。老若男女が高熱にあえぎ苦しんだ。歴史に学ぶべきは山のようにある▼島々の五穀豊穣と無病息災、ムラの繁栄をこいねがう豊年祭シーズンが終わった。炎暑の中の世願い、奉納はきっと天に通じるに違いない▼いくらどう考えても軍備で平和は守れない。島々に、村々に平和あってこその来夏世(くなつゆ)である。(慶田盛伸)
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