ことし一年の豊作に感謝し、来夏世(クナツユ)の五穀豊穣(ほうじょう)を願う伊原間公民館(前上里徹館長)の2018年豊年祭のムラプールが29日夜、同公民館広場で行われ、地域住民や婦人会、伊原間中学校などが、旗頭や舞踊、ミシャグパーシなど九つの演目を奉納し、北部地区の繁栄を願った。
前上里館長は「時代の流れとともに必要に応じて変わるものと変わらないものがあり、豊年祭にはどちらも含まれている。次世代の子どもたちは豊年祭を通してふるさとの良さを刻み込み、文化を継承してほしい」とあいさつした。
祭りは伊原間中学校男子生徒13人の「北部健児」の旗頭奉納で開幕。婦人会は、とぅまた節、うりずんなどの奉納芸能を披露、かわいらしいみこしを担いで登場した子ども会は繁盛節、いにしり節などを元気いっぱいに踊った。また、神司や来賓へ祈りの歌とともに神酒をふるまう「ミシャグパーシ」が荘厳に執り行われた。
最後は地域青年らが「五風十雨」、「祈豊年」の旗文字の旗頭を力強く奉納、地域住民らが「ホイサー、コラサー」とはやし声で盛り上げた。
伊原間出身の横目博二さんと門下生ら7人の三線演奏が祭りに花を添えた。
オンプールは高島尚子神司が同日正午、伊原間御嶽で行った。
■4年ぶりに開催 拝所老朽化で改修も
名蔵豊年祭
ことしの稔(みの)りに感謝し、来夏世(クナツユ)の五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する名蔵自治公民館(上地正人館長)の豊年祭が29日、名蔵御嶽で4年ぶりに行われ、大勢の地域住民や来賓らが参加する中、旗頭や踊りなどが奉納された。同御嶽の拝所が老朽化で屋根の瓦など崩落の危険性があることや、祭りの日の天候不良などで3年間、豊年祭は開催されていなかった。
豊年祭では、神司らが拝所での祈願の後、石垣島製糖や名蔵小中学校の旗頭や太鼓、婦人部の踊り、エイサーなどが次々に奉納され、最後は全員のガーリーで、来年の豊作を祈願し、豊年祭を締めくくった。
拝所は屋根の瓦などを取り除き、ビニールシートで覆った上で、豊年祭を行った。
上地館長は「豊年祭は拝所の老朽化と台風などで3年間、開催できずにいたが、ことしは皆に見てもらおうと開催した。期成会を立ち上げ、拝所を建て直す作業を行っており、来年は新しい拝所の前で豊年祭を開催したい」と話した。
■与那国の豊年祭始まる ミティ唄や棒踊りなど奉納
【与那国】町内の各公民館が主催する豊年祭が久部良から始まり、27日は久部良と比川が各拝所で豊年祭を行った。
比川では子どもたちのみこしが繰り出し、集落はずれの拝所では祝賀会が行われ、「ミティ唄」「イララと六尺棒踊り」「ティンバイとナギナタ棒踊り」や幼稚園児の「マミドーマ」、女性らが「ゆがふ口説」「比川美童」などの踊りを奉納した。
この後、会場の人たちがドゥンタに加わり豊年を祈願した。
福里貢辰東自治公民館長、真謝喜八郎西自治公民館長、鳩間信助嶋仲自治公民館長、柿本太蔵久部良自治公民館長、金城信浩副町長、田里千代基町議会議長がそれぞれあいさつした。
8月5日は祖納地区の東、西、嶋仲の3自治公民館が祖納の「十山御願」(とぅやまうがん)でこの一年の収穫への感謝と向こう一年の豊年を祈願。夜は同御嶽で祭り火がたかれ巻き踊りで無病息災を祈願する。(田頭政英通信員)