石垣島への陸自配備計画で既定路線だった中山義隆市長の正式な受け入れ表明のXデーは、あまりにも突然にやってきた▼賛否両論がある中、議論がしっかり尽くされた上での判断であったのか。記者会見で見せたように自分の好まぬ主張には「議論がかみ合わない」と切り捨てるなど、釈然としないものが残る▼問題が起きて以降、市民や県、国との対応を見る限りにおいて「国防は国の専権事項」を大義名分に「受け入れない」という論理は存在せず、首長として国の意向を受け入れるために何が得策なのかが最優先されてきた感は否めず、いまはやりの政権への「忖度」とも言えるのではないか▼記者懇談会をカムフラージュした卑劣な発表といい、加計学園問題で理事長が首相面会を否定した会見、肝心なところでは言葉巧みに、はっきりとものを言わない姿勢など、度重なる安倍政権の行動を踏襲するかのような用意周到さを見るにつけ、国政とのパイプ役を担っている優秀なブレーンの存在が透けてくるようだ▼陸自配備は子や孫の時代、島の平和はどうあるべきなのかを判断するかつてないほどの重要な問題である▼それだけに9月の市議選が注目され、反戦平和という不動の信念を持つ市民がいる以上、市長や政権が思うほどにこれにて一件落着とはいくまい。(鬚川修)
↧