「鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」
木々が芽吹き若葉色に染まった山肌で、今年もヤエヤマボタルの恋の季節が訪れている。
小さな体から想像以上に明るい光を発するヤエヤマボタル。オスとメスが光を頼りに出会うため、この時季から5月末ごろまで、日没とともに数十分の短い時間だけ毎晩、光り舞う。
2日は、前日の雨の影響で山は湿気を帯び気温も高く、ホタルにとってはよい条件。
午後6時半ごろ、小鳥たちは鳴き声を潜め、リュウキュウコノハズクや、アイフィンガーガエルの鳴き声が薄暗くなった森に響き、午後7時20分ごろ一つ目が光り始めると次々と下草のシダの間から小さな光が浮き上がり、点滅しながら膝位の高さを斜面にそって飛び始め、午後8時ごろには辺りは再び闇に包まれた。
足元では落ち葉や朽木が発光菌類に縁取られ微かに白く浮かび上がっていた。