戦争マラリアの実相を後世に正しく伝えるとともに、平和の発信拠点の形成を目指すことを目的に開館した八重山平和祈念館(比屋根勉分館長)は2013年度以降、県外からの入館者数が増加傾向にあり、17年度で2972人の過去最多を記録したことが同館のまとめで分かった。外国を含めると全体の66%を占める。修学旅行の平和学習が増加しているという。同館は、八重山教育旅行誘致委員会などと連携を強化し、平和学習での活用を呼び掛けていく考えだ。
入館者は1999年度の開館時から毎年3000~4000人台で推移。2007年度をピークに減少傾向にあったが、13年度以降は増加傾向に転じ、17年度は直近5年間で最多の4601人が利用した。
県外からの入館者のうち、修学旅行や大学の研修などで利用した生徒・学生らは8校1007人。和歌山411人、大阪府407人、愛知県110人の順に多い。八重山地域内では小学校17校692人が最も多いが、中学校が2校15人と少ない。
比屋根分館長は「地上戦があった沖縄本島には平和学習で訪れる修学旅行生は多いが、一歩先の先島では、軍命による戦争マラリアという戦争の姿があったことを伝えていきたい。八重山も平和学習ができる場所。石垣島のほか西表島、波照間島などもアピールしていきたい」と話している。
祈念館は、八重山地域死没者に関する国の慰藉事業として、バンナ公園への慰霊碑建立とともに建設された。「アジア・太平洋戦争に起因する沖縄戦」「沖縄戦と八重山」「戦争マラリアの悲劇」「マラリア根絶に向かって」「戦争マラリア援護会の活動」「八重山地域における平和発進拠点を目指して」|の展示構成となっている。