非常食として家庭に一つはある「インスタント(即席)ラーメン」。ことし誕生から60周年を迎えるという▼即席ラーメンは1958年に日清食品が袋詰めの「チキンラーメン」を出したのが始まり。同食品創業者の安藤百福氏がおいしいこと、保存できること、調理が簡単なこと、価格が適正なこと、安全なこと—の五つを目標に開発したという▼それから60年。現在は袋詰めに加え71年に発売された「カップめん」も加わり、世界中で人気を集める。その消費量は2012年以降、世界で年間1000億食前後。国内に限れば1人当たり年間44・6食。週に1回弱の割合で即席ラーメンを食べている計算になる▼現在も各メーカーが世界を視野に商品開発にしのぎを削る。より本格的な生めんタイプは、作り方によっては店舗のラーメンに引けをとらない高品質の商品もあり、家庭で安価で、簡単にお店の味をあじわう楽しみも与えている▼即席めんで思い出すのが、筆者が高校時代に良く食べた市内のパーラーのラーメン。市販の袋詰めの即席めんで、具に菜っ葉と卵焼きが乗っただけのラーメンだったが、当時は何よりもおいしく感じたのを覚えている▼即席ラーメンの進化の歴史とともに育ってきた感がある筆者の世代。今後の深化が楽しみだ。(下野宏一)
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