【与那国】任期満了に伴う3市町議員選挙は、予定されている9月投開票まで半年を切った。このうち与那国町議選は、条例改正で定数が6から10に拡大されることになっており、議会勢力がどう変化するかが最大の焦点。少数与党で厳しい議会運営を強いられている外間守吉町長が昨年8月に4選した勢いで過半数奪還を狙う。革新側は「反外間」を取り込み野党多数を堅守する考え。17日までに全現職6人と新人5人が立候補の意向を示しており、水面下で互いの出方を探る動きが活発化している。
現在の町議会勢力は野党4、与党2。野党側は採決に加わらない議長を除いても3対2で過半数を占めている。
議員定数をめぐっては、2006年の選挙以降、三位一体改革の国庫補助負担金削減による財政難で定数を当時の12人から6人に半減させたが、16年9月の町議会で野党側が「社会情勢に対応した民意の反映」を理由に、定数を拡大する条例改正案を可決した。
議会の主導権を野党に握られ、厳しい町政運営を強いられている外間町長は劣勢をはね返すため、支持層から立候補予定者の支援・調整を進めており、町長サイドの関係者は「町議選挙の結果は外間町長の政策推進を大きく左右する。野党を崩すには過半数獲得は命題」と今町議選を最重要視する。
一方、革新側は昨年8月に自衛隊配備後初の町長選挙で候補者擁立を断念、反外間の保守候補と共闘しており、町議選でも保革を超えた「反外間」勢力で過半数を堅守する構え。革新関係者は「保守層には町長選のしこりが依然として残っている。革新に加えて一部の保守でも反外間は根強く、再度の共闘はありえる」と強調する。
有権者数は2014年9月の前回町議選が1119人(男575人、女544人)。昨年8月の町長選では1343人(男740人、女603人)と自衛隊配備の影響などで224人増えたが、依然として地縁・血縁に依存する傾向が強く、町議選で脱却を望む声も多い。
祖納在住の男性は「議員定数が増えれば当選のボーダーラインが下がる。親類に頼らざるを得ない選挙は島特有だが、本来の人柄や政策を重視しないと社会情勢に対応した議会にはならない」と指摘する。
今町議選では新人の動向に注目が集まる一方、地域や親族との関係から支持者が重複して出馬を取り下げる可能性があり、無投票を懸念する声もある。
新人で立候補を予定している男性は「他者の動向は注視しているが、出馬する考えを早く明確にすれば、支持固めに走れる」と話している。