森友学園、加計学園に続き、イラク自衛隊日報、財務省事務次官のセクハラと次から次と明るみに出る疑惑の数々が、安倍政権を窮地に陥れている▼疑惑が浮上した昨年2月の国会答弁で安倍首相は「私や妻が関係していれば総理大臣も国会議員も辞める」と国民に約束した▼さあ大変と官僚が忖度したのだろうか。財務省が決裁文書を改ざん、判明した事実追及の官僚の証人喚問も刑事訴追の恐れを理由に、動機や経緯が明らかにされないままである▼さらに加計学園の獣医学部新設に関しては、元首相秘書官が「首相案件」と発言したとされる新たな疑惑が持ち上がった。一連の疑惑で野党は「総理はうそをついている」と追及。これに首相は「うそつきという以上は証拠を示してほしい」と居直る▼国会では何よりも「真実」を語ることが国民に対する第一の忠誠である。終わりの見えそうにない疑惑の連鎖は、忖度の果ての政と官の歪んだ関係を象徴してはいないだろうか。首相が「美しい国づくり」を国民に説く以上は、自ら身ぎれいであるべきだ▼国会は、心に届く言葉でこの始末をつけない限り、国民の怒りは収まりそうにもない。そうでないと2007年9月に突然の辞任で政権を放り出し第1次安倍改造内閣同様に歴史は繰り返されるのではないか。(鬚川修)
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