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反対派に正念場の市議選

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 ■与党分裂で野党多数に

 石垣市長選が終わり、八重山の政局は9月の3市町議会議員選挙に向けて動きだした。石垣市は定数22人、竹富町は16人、与那国町は現在の6人が10人に増員後初の選挙であり、与野党がそれぞれ多数確保を目指す。その中で注目は自衛隊配備の是非が問われる石垣市議選だ。

 市長選は配備容認の中山義隆氏が3選したことから防衛省は当初の方針通り配備手続きを進めるが、問題は議会勢力だ。防衛省は18年度予算に用地取得費など136億円を計上しており、予定地の平得大俣の市有地を買収するには議会の同意が必要だからだ。

 しかし現在は与党分裂で野党系が11対10で多数を占めており、現状では用地取得は不可能。そこで防衛省や推進派が自衛隊を配備するには市議選で与党の多数確保が必要になる。

 逆に言えば反対市民が自衛隊の配備を阻止するには、現状の革新系などや野党の多数確保が引き続き必要になる。推進派の与党、反対派の野党にとっても今市議選は文字通り正念場だ。

 ■一寸先は闇の政界

 それにしても政治の世界は、まさに「一寸先は闇」だ。昨年の市長選の候補者選びの段階で自衛隊に反対する革新陣営は、「与党多数の今、市長選で敗れると革新や自衛隊反対派は万事休す。直ちに自衛隊が配備され、その家族票も含めて革新に次はない」と危機感と悲壮感が漂っていた。

 確かに県内でも有数の保守地盤の石垣市は、自衛隊500人~600人が配備されると家族を含めて保守票が増え、しかも一度配備されると隊員は1000人以上に増えても減るはずはないから、「この島はますます保守の島になる」と自衛隊反対派やリベラルの市民らの危機感は相当なものだった。

 それが昨年9月、与党だった保守系市議2人が中山市長への職務強要容疑で逮捕されたことから潮目が変わる。その後与党の保守議員2人がさらに中山市長の市政運営に反発して市長選に自民県議の砂川利勝氏を担ぎ出し、よもやの保守分裂選挙となったのだ。

 これに革新陣営は「自衛隊阻止と市政奪還のチャンス」と燃えたが、自公の国政選挙並みの党本部を挙げた異例の総力戦で現職の中山氏が大勝した。

 ■反中山で保・革連携も

 しかし議会勢力は、それまで与党14(公明2)、野党5、中立2の与党多数が、与党分裂による保守系4人を加えて野党・中立系が11対10となり、想定外の与野党逆転となったのだ。

 その結果中山市長の3選で配備への動きが一気に加速すると思われたのがむしろ停滞。革新や自衛隊反対市民にとって市議選で多数を確保すれば配備阻止も不可能でないばかりか、4年後の市長選にも市政奪還の可能性を残すことになったのだから、まさに「政治の世界は一寸先は闇」だ。

 砂川氏の市長選出馬で11月には知事選と同時に県議補欠選も行われるが、市長選でも一部動きがあったように、「オール沖縄」の“八重山版”で反中山の保守と革新の両陣営が連携して市議選、知事選、県議補選でゆさぶりをかけてくる可能性も否定できず、与野党の動向が例年になく注目される。


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