ある日、洗いものをしながらテレビニュースを見ていた家人に向かって「うるさい、音が大きすぎる。ほんとうにうるさく感じないの」と注意したら「この音量でなくては、ここまで聞こえないし、何言っているのかも分からない。これまで注意しなかったが、あなたが普段しゃべっているボソボソ声の過半はよく聞こえていない。大きな声で明瞭に話してくれないと困る」と言い返してきた▼こりゃあ大変だ、耳が遠くなってきたぞ。こんな具合では、言った、いや言っていない、聞いていないの争いに発展しかねない▼またある日、私が凧作りをしながら、ステレオで音楽を聴いていたら、演奏が盛り上がったところで、今度は家人が「うるさい、もっと静かに楽しめないの。ほんとうにうるさく感じないの」ときた▼音楽は、テレビのニュース音声と違い小さな音から大きな音まで、すべてが大事な要素。盛り上がった箇所で音を下げて、は、ないだろう▼近所の医者にこのすれちがいはどうしたものかと相談したら「それぞれが、家じゅうに響く音をやめてテレビやステレオの近くで必要最低限な音を出して楽しむしかないだろうね」との診断▼家庭内は、こんな処方でもすむが、島の開発発展で嘉手納のような思わぬ騒音が石垣で持ちあがった時はどうしたものか。(仲間清隆)
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