任期満了に伴う石垣市長選は11日、市内21カ所で投票が行われ、即日開票の結果、3期目を目指した保守系現職の中山義隆氏(50)=自民、公明、維新、幸福推薦=が1万3822票を獲得、前市議で新人の宮良操氏(61)=社民、社大、共産、自由、民進推薦=、前自民県議で新人の砂川利勝氏(54)との三つどもえの戦いを制した。次点の宮良氏に4296票の大差をつけた。
最大の争点となった平得大俣への陸自配備計画について中山氏は理解を示し、「市民の意見や要望を聞き、国と協議しながら最終判断を行いたい」との立場。2018年度予算で136億円を確保している防衛省は4月以降、用地取得などの手続きを進めることになり、今後は中山氏の最終判断時期が焦点となる。
選挙戦で中山氏は、政府与党の自公のほか日本維新の会、幸福実現党、各種団体の推薦を受け、組織による総力戦を展開。陸自配備計画という国策が絡んだため、自民は二階俊博幹事長ら国会議員を延べ約30人投入するなどてこ入れ、組織票を固めた。
「今の流れを止めるな」と好調な観光を中心とした経済の流れの持続を訴え、若さと行動力をPR。国際観光都市づくりによる平和発信、石垣空港滑走路延長、本島での八重山会館建設など新たな政策も打ち出し、幅広い層から支持を集めた。
宮良氏は、反自公の政党や平和・労組団体、若者の支援を受け、陸自配備では「島のどこにも受け入れない」と明確に反対の立場を表明。「島の未来は市民が決める。住民自治を取り戻す」などとして市政のチェンジを訴えたが、及ばなかった。
自民党を除名された砂川氏は「市民党」を掲げ、有権者にじかに会って支持を訴えるどぶ板選挙を展開。「平得大俣白紙」「新庁舎建設」「経済振興で島の均衡ある発展」を柱とする政策を訴えたが、浸透しなかった。
【中山氏の話】
三つどもえで非常に厳しい選挙だったが、多くの方のご支持をいただき、心から感謝したい。支援の輪が広がり、確実に政策が浸透しているとの感触が日に日に高まっていった。公約で掲げた空港の滑走路、港湾の整備。これらをすることで国際観光都市という確固たる地位を築きたい。それに伴い安定した雇用を生み出せる石垣市をつくっていきたい。身を引き締めて3期目をしっかりと務めていく。
中山義隆(なかやま・よしたか)氏。1967年6月26日生まれ。登野城出身。近畿大学商経学部卒、野村証券(株)入社。八重山青年会議所理事長、日本青年会議所沖縄地区担当常任理事を経て2006年9月に市議選初当選。10年3月の市長選から3期連続当選。