「ゴーッという地鳴りのような音が聞こえ、グラグラと2、3回短く大きく揺れた」。去る1日深夜に西表島付近を震源とする震度5弱、マグニチュード(M)5・7を体験した同島住民の声だ▼この地震では、幸い人身被害や大きな物損被害は無かったが、余震が頻発する中、住民は不安な夜を過したことだろう。18年前の群発地震を経験した同島住民には当時の状況が蘇り、恐怖に陥ったにちがいない▼8日で地震発生から一週間が経過する。気象庁の観測では発生後、7日午後8時までの間に震度1以上の余震と思われる地震が2日を中心に26回発生した。6日以降、地震の数が減り7日は無かっただけに石垣島地方気象台では「(余震は)収束に向かっている」としている▼ただ心配なのが風評被害。発生後に一部、宿泊施設や観光関連業者で予約のキャンセルやツアーの中止などのほか、問い合わせがあったという。余震が長引けば、観光面への影響拡大が心配されただけに、収束傾向は歓迎されるところだ▼西表島はことし夏、奄美大島、沖縄本島のやんばるを含め世界自然遺産登録の可否が判断される。登録されれば世界中から注目され、観光客の増加も予想される▼この記念すべき年に地震の影響が影を落とすことがないことを祈りたい。(下野宏一)
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