5日夕、石垣市真栄里の事務所で事務員の女性(52)が顔などを十数カ所刺され、死亡する痛ましい事件が起きた。事件発生から2日が経過したがまだ犯行に使われた凶器も見つからず、犯人も逮捕されていない▼この状況に市内の学校では、親が子どもを送迎したり、集団での登下校を行うなど、児童生徒を中心に市民生活への影響が広がっている▼近隣住民なども不安の色を隠せず「早く犯人が捕まってほしい」と、事件の早期解決を切望する声が聞こえる▼事件解決につながる有力な情報がなかなか表に出ない中、市民の間で犯人像や犯人逮捕などの臆測やうわさが拡散。LINE(無料通話アプリ)やネット上の掲示板などで「○○が犯人らしい」「○○が自首した」「犯人が逮捕された」など、根拠のない情報がまことしやかに流れている▼本年度の新聞週間代表標語「新聞で見分けるフェイク知るファクト」は、SNSなどで流されるデマ情報に惑わされず、新聞で真実を知ることの大切さを表した▼石垣は今、まさにフェイク(うそ)が飛び交い、歯止めがかからない状態だ。根拠のない臆測やデマ情報は、悲しみに打ちひしがれる遺族に追い打ちをかけるようなものだ。まったく関係の無い人に疑いの目が向く恐れもある。それは避けるべきだ。(下野宏一)
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