国政を動かす宰相からしてみれば、国の意向に背くものには決して負けるわけにはいかない▼目的達成のために協力者への支援を惜しまず、次から次と国民的人気の高い政治家を投入するなどヒト・カネ、権力による怒涛の勢いで勝利をつかみ取る▼米軍普天間基地の辺野古移設をめぐる安倍政権と翁長知事の;代理戦争;とも言われた注目の名護市長選は、まさにそのような様相を呈した選挙結果と言えるのではないか▼不動の信念を持つ選挙民の下ではいかなる権力をもってしても及ばないと予想されたが、名護市民は将来の基地問題よりも現実的な生活重視を選択したということか。組織力のすごさといい、選挙は水物、何が起こるか分からないを改めて学んだ思いである▼選挙戦で稲嶺進氏(72)が移設阻止を訴えたのに対し、当選した渡具知武豊氏(56)はそれには一切触れず、市民生活の向上と経済回復を打ち出すことで、基地問題に疲れた票を呼び込もうという苦肉の策にもみえた争点ぼかしが功を奏した▼怒涛の勢いを忘れるまもなく、来月には陸自配備を争点とした石垣市長選が行われる。国にとっては配備のためにも負けられない選挙。住民からすれば未来に向け、郷土の進むべき道を選択する歴史的な選挙である。正々堂々とした主張の選挙戦を期待したい。(鬚川修)
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