経済的に困っている家庭の小中学生が受けている就学援助の入学準備金(新入学用品費)を入学前に前倒し支給する市町村が全国で広がっている▼八重山も石垣市が今年から中学の新1年生に限って従来入学後の8月支給を今月に前倒し支給する。小学は次年度以降に検討▼文科省によると家庭が支出する学校教育費は小中とも1年生が最も多く、小1はランドセル代、中1は制服代だけでも平均4万円以上、体操着やカバン、上履きなどを含めると10万円以上もかかるという▼入学準備金はその一部に充てるため支給されており、今回の前倒しは対象世帯から喜ばれているが、ただ金額面でもっと増額を望む声が強い▼石垣市は国の目安に沿って小学1万9900円、中学2万2900円。これに対し次年度以降の前倒しを検討中の竹富町と与那国町は小学4万600円、中学4万7400円となっており、石垣市は半分以下だ▼深刻な沖縄の子どもの貧困は大部分が母子世帯だ。石垣市のひとり親世帯調査結果でも母子世帯の年間平均所得は約78万円と低く、生活や子育てに不安を訴えている。親の所得格差が教育格差、教育格差が就職の格差となって「貧困の連鎖」を引き起こしている。子どもたちの未来のため就学援助などの支援はもっと拡充されるべきだ。(上地義男)
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