核戦争などによる人類滅亡まであと2分である。世界の英知はわずか2分の間に地球の危機的状況を回避できるのだろうか▼さながら映画のナレーションを思わせるような状況を、米科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンス」が25日、管理している世界の終わりまでの時間を象徴する「終末時計」の針を30秒進め、人類滅亡を示す午前0時まであと2分と発表した▼同誌は1945年、広島、長崎に投下された原爆の惨状に心を痛めたアインシュタイン博士ら米国の物理学者たちが創刊。47年には「終末時計」を設置し、核の危険を警告している▼時計は米国とソ連が水爆実験に成功した53年に「あと2分」まで針を進め、全面核戦争かと世界中が緊迫した。その後は、冷戦構造の終結やテロリストによる大量破壊兵器使用の懸念などがあり緊張緩和や激化に伴って一進一退を繰り返してきた▼今回は53年以来の過去最短。同誌が「残り2分」としたのは、世界の指導者が核戦争や気候変動の脅威に効果的な対応をしていない点を指摘。米朝双方の挑発的な言動も偶発的な核戦争の危険性があると懸念を表明した▼防衛力強化と言ってはみても核戦争が起こればワンサイドの勝利などあり得ない。核には人類を死滅させる狂気がひそんでいることを忘れたくない。(鬚川修)
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