八重山に定着し、石垣市鳥獣被害防止計画で害獣に指定されているインドクジャクやコウライキジの駆除対策として、有害鳥獣の「価値転換」を目指す試みが官学連携で始まっている。29日午後、八重山商工高校(新城英人校長)でワークショップが開かれ、生徒らがクジャクの羽根を使ったアクセサリー作りに挑戦。コーディネーターを務める石垣市地域おこし協力隊の渡邊義弘さん(42)は「駆除には多くの手間がかかる。害獣の中身を食し、外身は新たに利活用するなどプラスの価値付けで選択肢を増やせたら」と話している。
インドクジャクは、1970年代に観光業者が観賞用として郡内に持ち込んだために島々で定着。植物の芽や果実、小型哺乳類を食べることから農作物被害が年々、拡大し、生態系への影響も懸念されている。
渡邊さんは害獣駆除の労力を新たな生産活動につなげることで価値転換しようと、昨年6月に八重山農林高校(山城聡校長)でコウライキジのジビエ調理開発ワークショップを実施。有害鳥獣の食消費とともに、処分される羽根の利活用を視野に今回のワークショップを企画した。
ワークショップでは、クジャクの羽根をあしらった衣装で知られる琉球サンバユニット「宮城姉妹」の姉・宮城佳代子さん(38)が講師を担当。
八商工商業科観光コースの1、2年生38人がサンバの歴史文化に触れるとともに、ブラジルでは一本5000円で販売されるというクジャクの羽根やキジの羽根、飾り石で思い思いのブローチや髪留めを仕上げた。
1年生の上地優風さん(16)は「(作業が)楽しかった。石垣ではタダで手に入る羽根でも、ブラジルでは高値。輸出販売などで需要があるんじゃないかな」と提案した。
昨年の八重農市でキジ肉スープを試食した来場客からは商品化を求める声もあったとし、渡邊さんは「(学校との連携で)若い方々の発想で活用法を考えてもらいたい。やいま石垣さんばしマーケットでの商品販売など発展を目指したい」と語った。