八重山の民俗芸能継承・後継者育成に向けた一般社団法人与那国フォーラム(代表理事・外間守吉与那国町長)のイベント「民俗芸能の未来のために今できること—継承者育成の実践と精神—」が26日夜、竹富島まちなみ館で開催された。県内外の民俗芸能関係者ら7人が「子どもと祭事のかかわり」をテーマに提言。芸能は心を一つにする力があるとして、地域生活の中で幼少期から民俗芸能への機会を提供する重要性を確認した。
同イベントは、国の重要無形民俗文化財に指定されている「与那国島の祭事の芸能」の継承危機を受けて、郡内各地の取り組み事例を基に人材育成計画の策定を目指すもの。
沖縄県文化振興会の2017年度沖縄文化芸術を支える環境形成推進事業の一環。
第1部のシンポジウムでは、与那国民俗芸能伝承保存会の宮良純一郎相談役、玻座真間民俗芸能保存会の亀井保信顧問、小浜民俗芸能保存会の花城正美氏、祖納公民館の古見代志人館長、干立公民館の山下義雄館長、全日本郷土芸能協会の小岩秀太郎事務局次長、日本離島センターの三木剛志広報・調査課長の7人が登壇。
亀井氏は竹富島の国指定重要無形民俗文化財「種子取祭」に触れ、「種子取祭でも芸能は見せ物ではなく、神様に奉納するものと若い世代には常々伝えており、芸能を無くしてならない背景には重要なものがある」と継承する意義を強調。
山下氏は「時代とともに変化していく価値観を見つめながら、現実的に考えること。(幼少期の体験は)進学や就職で島を離れた後に『当たり前』という価値観から『誇り』になる可能性がある」と話し、三木氏は鎌倉時代の念仏踊りが発展したとされる大分県姫島の盆踊りを紹介し、同島の①学校教育②外部評価③世代を横断する地域力—の3点を評価。そのためには財政的支援など社会基盤が大きな支えになることなどを指摘した。
第2部の芸能交換会では、与那国民俗芸能伝承保存会が「道唄」「ちでぃん口説」「与那国の猫小」を披露。竹富公民館は「むりか星」「安里屋節」「揚作田節」を次々と繰り広げ、参加者らが各地域独特の演目に理解を深めた。
イベントの冒頭、与那国フォーラムが本年度調査した▽白保▽鳩間島▽波照間島▽黒島▽竹富島—5地域の民俗芸能継承の事例報告もあった。