防衛省が進める平得大俣への陸上自衛隊配備計画をめぐり、石垣市長選の出馬会見で自民党県議の砂川利勝氏が打ち出した場所の変更という〝第三の道〟に、保守系現職の中山義隆陣営から「現実的にあり得ない」と実現性に疑問の声が上がり、革新系市議の宮良操陣営には「地元から積極的に場所を提供するものだ」と警戒感を強める動きが出始めている。
防衛省は、2013年9月から3月にかけて業者に発注して行った「南西地域資料収集整理業務」と職員による現地調査の結果を踏まえ、平得大俣東の市有地と周辺を配置先に選定した経緯がある。地形やインフラ、自然などの状況に考慮した。
地元には一方的な印象を与えた候補地選定と配備に向けた手続き開始に、砂川氏は「対話」を掲げて「押し付け」を強調。▽周辺住民の反対運動がある▽於茂登岳が石垣市のシンボルである▽ふもとが水の神が宿るなど聖地である—として白紙に戻し、市側から住民の合意が得られる場所を探して防衛省に提案する考えを示した。
具体的な場所については「これから」と明言を避けたが、「必ず理解いただけるところはある」と自信をのぞかせる。これに宮良、中山両陣営とも「過去に砂川氏に近い市議が平得大俣に反対した経緯があるので、おそらく場所を想定した戦略だろう。島の均衡ある発展と言っていることにも関係しているのではないか」とみる。
中山陣営の幹部は「平得大俣は、防衛省が何年もかけて調査し、適地と判断した所。場所や通信環境など防衛上の戦略に基づいて選定したもので、どこでもいいというものではない。地元が選定できるものではない」と指摘。
中山氏は配備には理解を示しつつ、反対住民らと対話しながら最終判断を行うとの立場を示しており、平得大俣への配備を推進する幹部は「住民に不安があるものは一部を別の場所に移したり、あるいは施設配置を換えたりという調整になる」と説明する。
一方、宮良陣営の幹部は「保守系の中には平得大俣に反対する支持層もいるので、場所の変更という主張で票が抜かれるかもしれない」と危機感をあらわにし、「現職は平得大俣の容認派、砂川氏は別の場所で積極的に提供する推進派。いずれも自衛隊基地ありきの主張に変わりはない。両者との違いを明確に打ち出していく必要がある」としている。