保守分裂が濃厚となっている石垣市長選(3月4日告示、同11日投開票)で、自民党の二階俊博幹事長が23日、出馬の意向を固めている同党県議の砂川利勝氏(54)を本部に招き、保守系現職で3選を目指す中山義隆氏(50)への一本化に協力するよう要請した。翻意を促された砂川氏は「重く受け止め、今後の対応については後援会と相談したい」と述べるにとどめた。砂川氏と後援会(友利健一会長)の幹部らは同日夜、市内の事務所で協議した結果、予定通り24日に会見して出馬を表明することを全員一致で確認、友利会長は取材に「幹部の誰一人としてぶれることはなかった」と強調した。
市長選をめぐっては、自民党県連第4選挙区支部長の西銘恒三郎衆院議員が数度にわたって一本化に向けた調整を行ってきたが、いずれも不調に終わったため、党本部が乗り出してきた格好だ。
今市長選は、政府が計画する石垣島への陸自配備の是非が問われる見通しとなっているため、二階幹事長は「我が国の安全保障を確保する観点から大局的な見地に立って保守分裂という事態を回避して現職への一本化に協力を」と砂川氏に求めた。
これに対し、後援会の友利会長は「一本化の動きは最初から覚悟の上。現職への一本化はあり得ない。これまで現職の8年をみてきたが、不平不満の声しか聞こえて来なかった。責任感の強い県議に大きな期待をしている」と話した。
県連4選挙区支部は21日付で現職の推薦を決定し、県連に報告しており、県連もこれを認めるとみられる。
■「島のこと知らない」 党本部介入に支持者反発
保守分裂の公算が大きくなっている石垣市長選をめぐる自民党の一本化の動きに、砂川支持者は「島のことを何も知らない本部が口出しする必要はない。すべて本部に右へならえか」と反発を強め、「石垣市を変えるぞ」と息巻いた。
関係者によると、自民党は今月中旬に市長選の動向を探る世論調査を実施、出馬を表明している「現職の中山義隆」「革新系市議の宮良操」に加え、正式に出馬を表明していない「県議の砂川利勝」のいずれかを支持するか聞いたところ、砂川氏は2氏に水を開けられる結果に。
こうした情勢も分析した上で、本部が一本化に乗り出してきたとみられるが、砂川支持者は「まだ出馬も表明していない中で、状況を把握できるのか。筋が通らない。出馬表明した後に状況を分析して対応すべきだ」と声を荒らげた。
砂川氏の後援会(友利健一会長)は去る19日、「(砂川県議は)多くの市民の皆さまからの要請を受け、立候補することを決意された。多くの皆さまから温かい激励を賜り、県議自身が悩み熟慮の上、強く決断をした」として出馬会見の日程を地元報道各社にリリースしている。さらに2月4日には字真栄里で事務所開きを予定するなど着々と進めてきた。