税関空港指定で、昨年12月から香港への国際航空貨物の輸出が始まった新石垣空港。現地で石垣を「一番近い日本」と位置づけ、人に加えて物の動きも活発化するなか、島産品の消費と多品目輸出の拡大に着目した香港の現地バイヤー2人が11日、来島。島内で仕入れた特産品など約170㌔を16日に香港へ出荷する。民間業者が国際航空貨物を利用するのは初めて。一方、手狭で冷蔵機能が無い保全エリアや牛肉の海外出荷に対応していない八重山食肉センターなどを、活発化する海外輸出を妨げている要因に挙げ、「(輸出の)サポート体制が島全体でできていない」と指摘した。
来島したのは香港の西灣河(サイワンホー)で日本国内の特産品を数多く取り扱う「道の駅香港」の世良田紀子代表と、同じく繁華街の銅鑼湾(ドラワン)で昨年10月にオープンした「ステーキハウス88」香港店の初出店時に物流と商流をサポートするなど県内や海外で貿易を展開する㈱BRIDGESの又吉真由美代表取締役。
2人は地元特産品を販売する事業所約10社を11日から訪問。香港人消費者に合った味やデザイン、商品コンセプトを担当者から聞き取り、菓子類や泡盛、果実酒、八重山かまぼこ、調味料などを仕入れた。
商品は香港から沖縄へ誘客する現地イベント「沖縄スタイル」で設ける石垣島コーナーと道の駅香港で販売されるほか、ステーキハウス88香港店で提供される。
香港市場での特産品の販路拡大に世良田代表は「賞味期限が短い商品は(輸出に)敬遠されるが、良い商品は多い。地元のプリンや肉類の加工品は需要が期待できるので良い物を香港に届けたい」と継続仕入れに期待。一方で「何のために税関空港に指定されたかを考え、物流の仕組みを島全体でサポートすることが重要」と取り組みに提言。
コストパフォーマンスが高いステーキ肉の出荷を石垣が担うことに期待する又吉代表は「八重山食肉センターが食品衛生管理の国際規格『HACCP』に対応できればすぐにでも香港市場で取引は始まる。石垣を国産牛肉輸出のハブ拠点にすれば他国への物流輸送が変わる。大きな可能性を秘める石垣の動向を注視したい」と期待を寄せた。
菓子類の発注を受けた宮城菓子店の宮良振一郎営業主任は「現地バイヤーから香港消費者のニーズを聞けることは大きな収穫。香港への海外販路の展開に向けて力を合わせたい」と喜んだ。