任期満了に伴う石垣市長選(3月4日告示、11日投開票)は、市議で新人の宮良操氏(61)、現職で3期目を目指す中山義隆氏(50)が相次いで出馬を表明し、保守系現職に、一部保守を加えた革新系新人が挑む構図となっている。宮良氏は新たに後援会組織を結成、中山氏は従来の組織を継続するなど、支持母体も整った。今後、各地区での懇談会や集会など年明けから動きが本格化、2カ月余りにわたる前哨戦を展開する。
両氏の最大の違いは、防衛省が平得大俣東の市有地と民有地で手続きを進めている陸上自衛隊配備計画への対応。宮良氏は「阻止する」と反対の立場、中山氏は「理解する」として「話し合う」立場をとっている。
ただ、争点に対する両氏の認識には隔たりがあり、宮良氏が陸自配備を最大の問題に掲げる一方、中山氏は経済振興策を挙げていることから、有権者に問う内容に違いが出るものとみられ、配備の是非が真っ向から対立する軸となるかどうかは微妙な情勢だ。
中山氏の2期8年の市政運営の評価では、宮良氏が幼稚園休園、不発弾保管庫、火葬場移転、新庁舎建設位置をめぐる住民の反発などを例に「住民自治は末期症状、崩壊寸前だ」と厳しく批判、これに中山市長は「振り返ると、市民の意見を聞いてすべて解決した」と即反論するなど、有権者にとって分かりやすい争点の一つとなる。
前哨戦で宮良陣営は革新票の支持を固めた上で、反中山の保守票の取り込みを狙う。中山陣営は自民党石垣市支部内で生じている不協和音の影響を最小限に抑え、公明党の支持を取り付けたい考え。
中山氏の1期目で自民党との協力関係を築いた公明は前回、告示日の10日前に支持を出していることから、今回も前哨戦終盤まで動向を注視するとともに人格や識見、政策などを見極めた上で判断することになりそうだ。
一方、今市長選は、選挙権が18歳以上に引き下げられて以降初。両陣営は若い世代への浸透にも力を入れる。