来年3月11日の石垣市長選で、野党側の候補者選考委員会(入嵩西整委員長、17人)と、運動母体となる笑顔輝く八重山郡民の会(会長・次呂久成崇県議)の両代表は17日、市内で会見し、医師で石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会共同代表の上原秀政氏(63)に決定した結果を白紙に戻した経緯を説明するともに、19日に開く会合で新たな予定候補者を選考する方針を明らかにした。選考結果を郡民の会で報告し、予定候補者を中心に後援会の設立など選挙態勢づくりを進め、年内には出馬表明まで行いたい考えだ。
入嵩西委員長は「駐屯地ができると、保守主導の政治が構築されるため、革新の声が市政や国政に反映されにくくなる。このため今度の市長選は、石垣市の将来の政治の行方を決める選挙となる。どうしても勝利して平和な島にしていきたい。そういう気持ち、意欲のある予定候補者を選考し、多くの賛同を得ていきたい」と強調、次呂久県議は「スムーズに候補者を決定し、年内に走れる態勢を整えたい」と述べた。
経緯について次呂久県議は「上原さんが2月末まで診療を続けると選挙態勢がつくれないという声があった。上原さんとも調整してきたが、患者のこともあるので2月末までは続けなければならないということだったので厳しいと判断した。医師不足の問題もあり、上原さんにはその分野でしっかりやってもらいたいという声もあった。勝利のために互いに取り組むことを上原さんと確認した上で白紙に戻した」と説明した。
入嵩西委員長も「上原さんとわれわれが考える運動の期間に差があった。上原さんには感謝している。上原さんは自衛隊配備を心配した結果、市長選に出ると言った。彼も含め、このことを訴えていきたい」と述べた。
■新たな候補者確定か 水面下で模索、調整
来年の石垣市長選に向け、野党側の候補者選考委員会が人選を振り出しに戻したのは、「次の玉」を確保できる見通しがたったからだ。11月23日に予定候補者に上原秀政氏が選考された当初から、運動母体となる笑顔輝く八重山郡民の会内部には「2月末まで夜間診療を継続するのであれば戦えない」などと懸念の声が根強くあったため、選考委は水面下で上原氏に代わる人物を模索、調整を終えたものとみられている。
現職で3期目に意欲を示している中山義隆氏(50)は、年内に出馬表明を行う見通し。周辺は、保守系市議2人が逮捕、送検された市長職務強要事件をめぐる影響が選挙に出るとの厳しい見方をしているため、今回の野党側の人選のやり直しを注視。与党の一人は「白紙に戻したということは、次の予定候補者が決まっているということ。選挙も近いので一般人は無理。議員か議員経験者が出てくるだろう」とみている。
陸自配備計画をめぐり革新側は、防衛省が2018年度予算の概算要求で用地取得費など経費を計上したことを危惧。「選挙で負ければ配備される。さらに配備されれば、500~600人の隊員に家族を含めると1000人以上になるので、革新側は市長選で勝てなくなる。今回が最後のチャンス」と危機感を持っており、19日の選考委で予定候補者が決定した場合、いっきに選挙モードに突入する。