文化庁メディア芸術祭石垣島展(同庁主催、石垣市共催)の一環で、ラウンドトーク「島からアートをつくる」が12日夜、石垣市民会館大ホール棟2階の特設会場で開かれ、有識者4人が、アートによって創出される石垣島の価値や可能性について語り合った。
トークでは、同展製作ディレクターの岡田智博氏の進行で、現代美術家で京都造形芸術大学教授の椿昇氏、anno lab 代表の藤岡定氏、石垣市地域おこし協力隊の青木省悟氏がそれぞれの実践について紹介した。
同展で、伊原間会場の制作を担当した青木氏は、古民家の脇にある納屋を使い、公民館や学校など地域の協力を得ながら展示空間を創り出し、テレビなどが取り上げたことで、同時に地域内にも移住者や住民の間でこれまでなかった交流が生まれた、と報告。「最初はこんなものを見に来る人がいるのかと言われたが、実際に観光客が来て、こうしたことがあるんだと思ってくれた。雨の日や冬場の楽しみ方の一つとしてやっていけたら」と話した。
福岡をデザインで盛り上げている藤岡氏は「東京からイベントを持って来るのではなく、イベントをすることが石垣島の特長を形成し、島を変容させていけばおもしろい」と可能性を語った。
香川県の小豆島で瀬戸内国際芸術祭を成功させている椿氏は、「地域によって事情は違う」と前置きした上で、「地方のアート展は観光振興という考え方は捨て、次世代の人材育成だと腹をくくった方がいい」と指摘。「島にはたくさんの人を引きつける妖しい魅力がある。いっぱいある生かせる地域資源をどうにか残し、グローバル社会においてどう生き残るか」と課題を提示した。