先週の本欄で90代の母親が「子どもたちが否と言って自転車へ乗せてくれない」の否(いな)をスマムニ(方言)で「んば」と表記したが、場合によるのではとの指摘が。自転車に乗せないなら「んば」でもいいが乗らないでなら「まな」では▼う~ん方言は奥深い。近年、絶滅が危惧されるとして琉球列島の方言の調査保存で宮古、八重山に国内外の研究者が来島し聞き取りを進めている▼私たちも聞き取り調査の60代話者を頼まれ応じているが、方言で暮らしている島々のお年寄りよりも上手に話す外国人研究者も多く録音録画を前にうまくしゃべれず冷や汗をかいている▼時々「えっ!そんな方言や言い方があるんですか。初めて耳にしました」と驚かされることも。普段は全くと言っていいほど話すことのない単語や言い回しが、彼らの巧みな聞きだし方や設問で飛び出したりする時だ。私たちにもあらためての気づきで、絶滅の恐れとは、こういう事なのかと合点している▼単語だけでなく面白い句や数詞遊びもある。「るくじゅうや にんよーりぃ、ななじゅうや つぅくよーりぃ、はちじゅうや ぴにぃつよーりぃ(60代は年々弱り、70代は月々弱り、80代は日々弱っていく)」▼高齢化社会を迎えても実感できる至言。(仲間清隆)
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