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御嶽の南根腐病が深刻 市内7カ所調査

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南根腐病の調査を行う研究者ら。中央の樹木クワノハエノキは同病に罹患し、根元が腐っている=8日午前、宮鳥御嶽

 「東アジアの『伝統の森』文化誌準備委員会」(李春子委員長)の樹木医や研究者のメンバー7人らが7日から4日間の日程で、郡内の御嶽で南根腐(みなみねぐされ)病被害の調査を行っている。8日午前までに石垣市内7カ所の御嶽で実施した結果、真乙姥と宮鳥、名蔵の3カ所で南根腐病による枯死樹木を確認した。李委員長は「被害は深刻。御嶽の森を守るために、土壌処理は喫緊の課題だ」と警鐘を鳴らしている。李委員長によると、御嶽での調査は県内初で、竹富町内でも行う。調査結果は10日午後6時半から、石垣市民会館中ホールで開催するシンポジウムで発表される。

 南根腐病とは、亜熱帯地域で広く分布する樹木病害。キノコの仲間「シマサルノコシカケ」の菌糸によって引き起こされる。罹患(りかん)すると葉の変色や落葉、枝枯れが起こり、多くの場合枯死する。感染した樹木の根が健康な根と接触したり、キノコの胞子が飛散したりして感染する。樹木内部に菌糸がまん延するとキノコが生える。

 真乙姥御嶽では、オオバアコウの北西にあるクワノハエノキに重度の南根腐病が確認され、イビ(神域)を挟んで東にあるクワノハエノキにはキノコが生えていた。台湾大学大学院の傅春旭植物病理学博士は「オオバアコウはまだ感染していないが、地中で根が接触すると感染してしまう。すぐに土壌処理するべきだ」と指摘。「罹患しているクワノハエノキは、次の台風が来たら折れてしまうだろう。折れた枝が人や家に落下するかもしれない。危険な状態だ」と危惧した。

 李委員長は「祈りの空間、祭りという生きた伝統継承の空間、そして地域固有の老木や巨木の保存という三つの観点から、御嶽の森はとても重要。行政と地域の人々が死守するべきだ」と話している。

 同病は1988年、石垣市内の熱帯農業研究センター沖縄支所の防風林で国内で初めて確認され、県内や奄美大島、小笠原諸島でも見つかっている。

 今回の調査は、同委が展開するトヨタ財団の2017年度国際助成プログラムの採用企画「山・川・里・海をつなぐ日・韓・台の『伝統の森』文化の保全と絆」の一環として行われている。


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