竹富町は、2017年度波照間島基礎調査事業の一環として島民らに意見を出し合ってもらい、同島の観光実情の見える化を図る公式地図の制作に取り組んでいる。迷いやすい道やトイレの情報、神聖な区域など、島民が観光客に「知っておいてほしい」「よく尋ねられる」「改善してほしい」という声を地図に反映させる。次年度には地図を島民や国内外の観光客、島へ誘致する観光事業者らに配布するなどし、島民と来島者が互いに活用できるようにしたい考えだ。
同事業は、町観光振興基本計画(13~17年度)の見直しを控え、離島独特の課題を多く抱える波照間島をモデルケースに展開するもの。
小中学生や観光事業者を含む住民アンケートやワークショップを実施。島を訪れる観光客に行っているアンケートの結果をフィードバックすることで、住民主体で島の展望を探る。
島民からは観光客のマナー、観光による過重負担に指摘が相次いでいることから、町は島民と来島者を隔てる情報量に着目。島民の思いを地図上に可視化することで、2者間のズレ解消を目指す。
地図は、12月上旬に予定されているワークショップでさらに精細化し、名称や表記言語、活用方法などを最終調整していく。
島には現在、正式な集落の案内図はなく、各宿泊施設や飲食店が独自の地図を提供している。
町政策推進課の通事太一郎課長は「来島者の情報不足の解消を目指し、また、その作業過程で業種や生活期間の異なる島民間の意見の相互認識も得られれば」と話している。