国連が定める「世界津波の日」の5日、啓発活動の一環として国連国際防災戦略事務局(UNISDR)駐日事務所など主催の世界津波博物館会議が石垣市内のホテルで初開催された。津波や自然災害をテーマに博物館を有する8カ国の代表者ら64人が、過去の自然災害による被害とその教訓を共有し、後世への伝承、津波防災教育の拠点としての役割などの議論を深めた。
「世界津波の日」は、2015(平成27)年12月に国連総会で142カ国が共同提案した決議を全会一致で採択、制定されたもの。
石垣市では1771(明和8)年4月24日の大地震、通称「明和の大津波」が発生。当時の住民の半数にあたる9000人以上が犠牲となり、八重山に壊滅的な被害をもたらした。
会議は、▽知る▽気づく▽残す▽伝えるーの4項目と特別講演の5部構成で進行。
「世界津波の日」が11月5日に指定される由来となった稲むらの火の館=和歌山県広川町=を含む9博物館の活動紹介やパネルディスカッション、東北大学災害科学国際研究所の教授らによる津波石を題材とした講演などがあった。
開催地を代表して、中山義隆石垣市長が「石垣市も世界でも最大級といわれる明和の大津波が起きた悲しい歴史があり、島にはその痕跡が点在、津波にまつわる伝承も多く残っている。この会議を共有することで、知見を深める機会にしたい」とあいさつした。